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【日本製鋼所】航空、水素エネ事業育成へ*日鋼室蘭、研究部門を強化

組織/プログラム:研究部門の強化

北海道新聞(2017/9/13)

日本製鋼所(東京)は、室蘭製作所が担う原発関連部材生産などの低迷を受け、収益改善に向けた新事業の育成に10月から全社的に取り組む方針を決めた。室蘭では、かねて参入を検討していた航空機分野に加え、燃料電池車(FCV)向けの水素ステーションや、デジタルカメラなどに使われる人工水晶製造装置の生産で新ビジネス確立を目指す。10月1日付で組織改正を行い、研究開発部門を強化。次期中期経営計画(2018〜20年度)に具体的な目標を盛り込む。

同社の生産拠点は室蘭、広島、横浜の3カ所。室蘭で製造している原子炉圧力容器の鋼板や関連部材は09年ごろまで売り上げを伸ばしたが、東日本大震災による福島第1原発事故以降、国内の新規受注はゼロ。中国や英国の需要を含めても、売り上げは震災前の5分の1にとどまる。このため、産業機械が好調な広島、横浜両製作所と共に収益改善に本格的に取り組む。

新事業は航空機、水素エネルギー、結晶、成膜の4分野。航空機分野は室蘭製作所を主な拠点とし、炭素繊維強化プラスチック製の部品の量産に乗り出す。すでにラインの整備に着手しており、品質管理の認証取得などの手続きを進める。

水素エネルギー分野では、室蘭で造る水素蓄圧器と広島で造るコンプレッサーを組み合わせ、FCVに水素を供給する水素ステーションユニットの生産を目指す。結晶分野では、多様な人工結晶の製造装置の生産を模索する。

成膜分野の拠点は横浜。電気自動車でリチウムイオン電池の絶縁体に使われるフィルムなどの製造機械生産で、収益力を高める。

組織改正では、従来の研究開発本部を全体的な戦略をまとめる「技術戦略室」と実行部隊にあたる「新事業推進本部」に改編。各製作所の研究開発部門に、新事業推進本部の分室を置く。