新規事業:クロマトグラフィー受託事業
化学工業日報(2017/10/3)
武田薬品工業は2日、湘南研究所内でクロマトグラフィー技術に特化したベンチャー企業「ChromaJean(クロマジーン)」が設立されたと発表した。自社創薬で分析試験などを行っていた部門が独立した。武田薬品から引き継いだ独自の技術基盤を生かし、外部向けの受託サービスやクロマトグラフィー技術の研究などを行う。武田薬品の研究プロジェクト・資産を用いて社員が独立する制度「アントレプレナーシップ ベンチャー プログラム(EVP)」により設立された。
クロマジーンは、湘南研究所のクロマトグラフィー技術を応用する新会社として独立した。従業員は4人。今月1日付で設立し、営業を開始した。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー(GC)など主な分離法を応用した設備があり、低分子化合物やペプチド医薬品、一部の抗体医薬の分析に対応できるという。武田薬品のすべてのクロマトグラフィー関連設備を取得したかは非開示。
研究所で培ってきたクロマトグラフィー技術を応用した受託試験サービスを提供していく。まずは武田薬品グループからの試験を受託しつつ、外部からの受託機会も開拓する。アカデミアや分析機器メーカーなどと連携して、新しいクロマトグラフィー技術の開発や製品応用などにも取り組む。
クロマトグラフィー技術は、分析する作業者個人の能力により結果が異なることも多い。また日本ではHPLCなどに特化した技術者は減少している。クロマジーンは分離条件探索から精製完了までを標準化・自動化するアルゴリズムを確立しており、作業者のスキルに依存しない最適な分離・精製条件を迅速に見いだせるという。
武田薬品は研究開発組織を再編する一環として、湘南研究所などの研究資産や開発品のスピンアウトを推進している。独立を希望する社員を募り、武田薬品の支援を受けながら新会社として独立できる制度(EVP)を導入。クロマジーンは同制度を利用して設立された。