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【ソニー】スマホゲームに本格参入 開発費の拡大で生存競争激化

新規事業:スマホゲーム

週間ダイヤモンド(2017/9/16)

スマホゲームの生き残り競争がさらに激化しそうだ。ソニーインタラクティブエンタテインメント(SIE)の子会社、フォワードワークス(FW)がスマホゲームに本格参入したのだ。

第1弾は7月に投入した「みんなのゴルフ」。家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)」でのロングセラーで、「みんゴル」の愛称で知られている。「若い世代には、みんゴルで遊んだことがないユーザーも多く、スマホで知ってPSでも遊ぶという流れをつくりたい」と川口智基・FWエグゼクティブディレクターは意気込む。

注目されるのは、FWが10月に投入する「ソラとウミのアイダ(ソラウミ)」(写真右)だ。6人の少女が「宇宙魚」を捕まえるアクションゲームで、まったく新しいIP(知的財産)となる。

総監督はゲームソフト「サクラ大戦」などをプロデュースした広井王子氏。声優陣によるラジオ番組や漫画、2018年には同タイトルのアニメも制作される予定で、メディアミックスで展開する。

「新しいIPだからこそ、ゲームの世界観をさまざまなメディアで表現し、ゲームの認知度を高めたい」(川口氏)

FWでは、PSのIPだけではなく、他社IPをスマホ向けゲームで展開することも計画している。スマホ向けゲームに経営資源を掛けられないゲームメーカーのIPを活用するのだ。

注目されるのは、ゲームの運用部分は専門会社に委託する点。スマホゲームの収益の柱は、一部のコアユーザーのアイテム購入などによる課金だ。イベントを実施し、飽きさせない工夫をすることなども必要になる。まずはパートナーと組むことで、ノウハウを蓄積する必要があると判断したようだ。

ユーザーも移り気

スマホ向けゲームは成熟しており、もはや『ドラクエドラゴンクエスト)』などの有名IPか、テレビコマーシャルを大量投入しないと、ランキングの上位に入れない」と、あるソフトメーカー首脳は嘆く。さらにFWの参入で開発投資競争が激化するのではないかと予測する。

開発費が掛かる上に、ユーザーは移り気だ。「ポケモンGO」では少なくとも1年前のように大勢の人が集まってプレーする光景は減った。「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」でブームをつくったガンホー・オンライン・エンターテイメントの営業利益も16年12月期は460億円と、ピーク時の14年12月期と比べて半減している。

ゲームを有利に進めるために、強いキャラクターや武器などが獲得できる、ガチャと呼ばれるくじも、社会的な風当たりが強く、ぼろもうけができにくくなっている。ユーザー側が見限るのも早い。スマホゲーム市場の優勝劣敗の競争は厳しくなりつつある。