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【武田薬品】山口大発VBと提携しCAR−T療法参入、固形癌に照準

組織/プログラム:大学および国立がん研究センターベンチャーとの提携

化学工業日報(2017/9/5)

武田薬品工業は4日、イルイミューン・バイオテック(東京都中央区)とキメラ抗原受容体発現T細胞(CAR−T)療法の研究開発で提携すると発表した。ノイルイミューンは山口大学の研究者が開発したCAR−T療法の実用化を目指して設立された大学および国立がん研究センターベンチャー。同社のCAR−T療法技術の狙いは、CAR−Tでの成功例がほとんどない固形がん。まず患者自身のT細胞を取り出して治療薬にする自家移植での治療薬開発を目指す。

ノイルイミューンは山口大と国立がん研究センターが設立したベンチャーで、山口大の玉田耕治教授が開発した次世代CAR−T細胞などをがん免疫細胞療法として応用することを目指している。他の製薬企業が開発しているCAR−T療法は血液がんに対する治療薬がほとんどだが、玉田教授が開発した技術は固形がんにも応用できることが特徴。患者の血液からT細胞を取り出して治療薬に加工する際、特定のがん細胞抗原を認識するCAR遺伝子だけでなく、サイトカインやケモカインを産生させる遺伝子も導入する。これにより従来のCAR−T技術では難しかった固形がんの微小環境に影響を与えることが可能になるという。

両社はこの技術を応用したCAR−T治療薬の研究開発を共同で行う。武田薬品は研究に必要なリソースを提供するほか、ノイルイミューンへの技術アクセス料の支払い、株式投資を行う。共同研究で出てきた開発品やノイルイミューンの一部の開発品について、武田薬品が独占的な開発・販売権を獲得できるオプション権も得た。

ノイルイミューンによると、治験薬などを加工するための施設は自社にないことから、外部の受託サービスを利用することを検討しているという。