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【UACJ金属加工】車に照準、中国で設備増強/北米でも対応強化

新規事業:中国における金属加工事業

日刊工業新聞(2017/9/14)

UACJグループの金属加工メーカー、UACJ金属加工(本社=東京都墨田区、竹川幸男社長)は海外で自動車部品向けの対応を強化する。中国・無錫のアルミ加工拠点に曲げや穴開け切削などを行うための設備を導入。北米では親会社のUACJが昨年買収した自動車用アルミ構造材メーカーとの連携を深める。自社のメキシコ拠点への追加投資も今後検討する。

中国で販売が拡大する電気自動車(EV)は1回の充電で走行できる距離を延ばすため、アルミを多く使って車体の軽量化を図っている。米国でも燃費規制対応を目的に車体の骨格材分野で鋼材からアルミへの移行が始まっている。UACJ金属加工は現在、海外で自動車向けのアルミ加工を行っていないが、他のグループ会社との連携強化などを通じて現地で拡大する自動車需要を捉える

中国・無錫にあるアルミ加工拠点、日鋁全綜(無錫)鋁材加工について、今後半年から1年以内に曲げ加工機や穴開け切削のためのマシニングセンター、プレス機などの導入を検討する。電気自動車(EV)の構造材やバッテリー用部品の需要を捉える目的がある。同社が手掛ける加工品は農機具(田植え機)の部品や自動車熱交換器が主流で、熱交以外の自動車部品については「引き合いはもらえるが、確定する段階までには至っていない」(竹川社長)。

一方で中国の自動車市場は近年高い伸びを示しており、EVがけん引役の一つとなっている。「加工品の供給もタイトな状態が続いているため当社にも参入余地がある。加工注文に対応可能な体制を整え、ニッチな分野でも良いので入り込みたい」(同)。5年後には売上高に占める割合を熱交換器と同規模に高めたい考えだ。

米国では親会社のUACJが昨年買収した自動車用アルミ構造材メーカー(ホワイトホール社、UWH)に集まる情報を活用し、UACJ金属加工として新規分野への展開を検討する。「UACJ金属加工は日本流のモノづくりを通じ、コスト面などでUWHとは別の価値を提供できる可能性がある」(同)。

UWHで加工した部材をUACJ金属加工で組み立て(アッセンブリ)して製品の形に近い状態で顧客に納めることもUWHと検討していく。

「例えば当社のメキシコ拠点(UACJメタルコンポーネンツセントラルメキシコ)はUWHの一部顧客と同じ工業団地にある。UWHのサンミゲルの工場からセントラルメキシコに部材を送り込み、アッセンブリした後に顧客に納めることも考えられる」(同)。

需要の取り込みに応じてセントラルメキシコへの投資も検討する。「今後、建屋増設や新設備の導入などの投資が必要になる可能性がある」(同)。導入設備は曲げ加工機やマシニングセンター、プレス機、溶接設備、塗装設備などを予定する。