新規事業:高精密フィルム受託加工事業
日刊工業新聞(2017/9/27)
JXTGエネルギーは高精密フィルムの受託加工事業に参入する。液晶フィルム製造で培った技術を駆使し、光学機器向けなどの塗工(コーティング)などを請け負う。大手のフィルム製造メーカーが受託加工を手がける例はない。保有する技術や設備を有効活用して収益拡大につなげる。
子会社のJX液晶フィルム(長野県辰野町)の工場で受託事業を月内にも始める。稼働していない開発用の設備を使う。塗工、剥離転写、検査まで一括して請け負える設備が揃っている。
JX液晶フィルムは、液晶ディスプレイ(LCD)用の薄膜の光学フィルムを手がけてきた。スマートフォンなどモバイル機器のLCDに搭載実績がある。すでに技術が確立されており、開発用設備を中心に余裕があるため、受託事業への参入を決めた。
これまでの実績や生産環境を生かして、高機能フィルムの研究開発から量産まで、用途に応じて受託する。
中堅中小のフィルムメーカーは、高性能フィルムに必要な精密加工の設備を持ち合わせていない場合が多く、精密なコーティングや検査体制を提供する。
JXTGエネルギーはJXTGホールディングスの中核事業会社。長期的に電気自動車の普及などで、石油関連事業の伸長が見込みにくい中、機能材事業を強化している。新事業の創出を急ぐと同時に既存の経営資源を有効活用し収益の底上げにつなげる。