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【帝人フロンティア】防災製品パッケージ化、他社品も合わせて提案

新規事業:防災対策製品パッケージ事業

化学工業日報(2017/10/2)

帝人フロンティアは防災分野において外部企業との連携に乗り出す。防災製品のプラットフォームを構築し、地震対策製品を一括提案する「まるごと防災」の取り組みを開始した。自社および協力会社の防災製品をパッケージングし、帝人フロンティアが窓口となって病院や学校、マンションなどに提案する。複数社の防災製品を一括提案する試みは業界初とみられる。地震による初期災害や2次災害の軽減を主目的とし、災害後の備蓄対策までトータル提案できるのが特徴。早期の実績化を目指すとともに2020年度に売上高50億円の目標を掲げる。

7月から帝人グループの防災製品8品と協力会社の防災製品4品をパッケージングした防災製品群・まるごと防災の提案を開始した。各製品が防災安全協会が推奨する「防災製品等推奨品」に認定されており、まるごと防災自体もパッケージとして初めて認定を取得した。

帝人フロンティアは超軽量天井材「かるてん」や緊急防災毛布「もうたんか」、防災カーテン「プルシェルター」などを提供し、帝人のIT分野を担当するインフォコム(東京都渋谷区)の安否確認システム「BCポータル」もパッケージに組み込んだ。さらに帝人グループ以外の製品を補完するかたちで不二ラテックスの家具転倒防止対策製品「不動王」、東海ドアの避難用子扉付きドア「デレマース」などをラインアップしている。

複数社の防災製品を一括提案するのは前例がないとみられる。帝人フロンティアもこれまで自社製品のみで提案してきたが「本当に役立つ防災製品を取り揃えるには、他社との連携が不可欠」(帝人フロンティア・新規事業開発室の岸本隆久主管)と判断した。今後も自社で防災製品を開発するとともに、協力会社を増やすことでプラットフォームの拡充を目指す。

建物など構造物には耐震基準が定められているが、室内に関しては規定がないため、防災対策は住人自身に委ねられている。また、防災意識が高まっているものの、災害発生後の水や食料といった備蓄品に目が向いており、天井脱落や家具の転倒、火災といった初期被害を抑える意識がまだまだ低いという。

同社は地震発生時の初期災害および2次災害による室内被害を最小限に抑え、早期の災害復旧に役立つ製品を取り揃える。すでに病院や学校などにアプローチしており、そのほかマンションやBCP(事業継続計画)対策としてオフィスビルなどにも提案していく。

東日本大震災の発生以降、国は「国土強靱化計画」を掲げて防災分野に力を入れており、化学・素材メーカーも防災分野への展開を強めている三菱ケミカルホールディングスは18年4月に防災分野の統括組織を立ち上げ、自社の防災製品を一括提案できる体制をつくる。グンゼは9月、大阪府と防災分野を含む6分野で包括連携協定を締結した。帝人フロンティアは外部企業との連携によって事業拡大を狙う。